Grand Hiace Spacial Edition


タイトル画像、グランドハイエース全景

我が家の福祉車両

我が家の福祉車両グランドハイエーススペシャルエディションの紹介をいたします。
グランドハイエースはトヨタの車ですが、同じベース車を使ったウェルキャブと呼ばれる福祉車両があります。 我が家の車両にも取り付けてあるサイドリフトアップシートが付いた車種も用意されています。 それでもスペシャルにこだわったのには理由があります。どうぞごゆっくり御覧ください。 これから福祉車両を買い求めようとされておる方のお役に立てれば幸いです。

購入までの経緯

1枚目の画像、サイドリフトアップシート1
パワーアシストドアを開けた状態のサイドリフトアップシートの様子。
2枚目の画像、サイドリフトアップシート2
回転をはじめたばかりのサイドリフトアップシートの様子。

今回の車を購入する前は、日産ラルゴ平成3年式に乗ってました。 9年目に入っており、もう一回車検を受けるか買い換えるか考える時期に入りました。

前回の車検当たりからエンジンに不調を感じ始め、燃費も悪くなる一方 。 また、子ども達も大きくなってきて車への乗り降りの介助もだんだん大変になってきます。 学校では担任の先生方に乗り降りの介助をして頂くのですが、他人にしてもらっているのを見るに付けいろいろ危険が潜んでいるのを感じはじめておりました。 当然私たちも歳をとっていくわけですし、少しでも早く介助のしやすい車に乗り換えるべき時期に来ていると判断したわけです。

そこで車の候補をあげる段階に入り、今までの車と同等のまたはよりゆとりのあるモノで、リフトアップシートが付いたモノ。を前提に選びはじめました。 以前のラルゴは運転席の前が絶壁状でボンネット部分がありません。その分室内が広くゆとりがありました。 今回の購入を考えたとき、すでに全面にボンネットのないタイプの車は道路交通法等の関係で市場から消えつつありました。 仕方なくボンネットの付いた車となると、今までより大きな車にしないと同じほどのゆとりが得られません。そうなってくると日本のメーカーでは日産のエルグランドとトヨタのハイエースしか有りませんでした。

この2台を比べると決定的な違いがありました。それはサイドドアが左側片方だけか左右両方にあるかと言う問題でした。これは非常に大きな問題で、サイドリフトアップシートを付けた場合介助者が被介助者をシートに座らせて定位置に付いた場合、あとから乗る介助者は乗り込む場所がないと言うことです。

こんな時反対側にもう一枚ドアがあると簡単に乗り込むことが出来るのです。 この決定的な違いで選択の余地が無くなったわけです。


購入車両の選定

3枚目の画像、サイドリフトアップシート3
回転が終わり、下降を始める直前のサイドリフトアップシートの様子。
4枚目の画像、サイドリフトアップシート4
下降を始め、せり出してきたサイドリフトアップシートの様子。

どのグレードの車を買うかという段になって、まず最初に候補に上がったのが最近どのメーカーも充実しつつある福祉車両として発売されている車両の検討に入りました。

トヨタのウェルキャブシリーズグランドハイエースサイドリフトアップシート車を第一にあげました。が、福祉車両であると言うことで一般の車両に豊富にある快適性や利便性を提供する装備を割愛する気は毛頭ありませんでした。出来るかぎり欲しい装備は付けたいと考えたわけです。

ところが福祉車両への行政の対応は以外と冷たく補助などがある自治体は数えるほどしか有りません。従ってほとんど福祉部分については自腹となるわけです。当然メーカーも福祉車両を作ったとしても、価格設定をそこそこに押さえたいので福祉装備を付けた分、それ以外の装備を減らして価格を下げようとします。せっかく障害者にとって便利な機能が出来、出かける機会も増えるのですが、本来の車両にある快適な装備は我慢しなければなりません。これはちょっとおかしいと思いませんか。

私が一番こだわったのはサイドドアのパワーアシスト 機構でした。これはドアの開閉にモーターの力を使い軽く扱えるというモノです。 子ども達を抱えて玄関から出たときにあの重たいサイドドアを開けるのは大変な作業です。指一本でレバーを引くと後は勝手に空いてくれる。こんな装備を付けない手はありません。 事実ウェルキャブシリーズを買った顧客からドアだけパワーアシストに変えられないかと問い合わせがかなりあったそうです。残念ながらこのドアはメーカーオプションなので後からは付けられませんし。ウェルキャブにはこのオプションがありません。

そこで一般車両であるグランドハイ エースをパワーアシストドアのあるグレードで購入しそれにサイドリフトアップシートを取り付けできないかと考えました。


要望実現までの経緯

5枚目の画像、サイドリフトアップシート5
下降が完了したサイドリフトアップシートの様子。
6枚目の画像、サイドリフトアップシート6
シートが降りた状態の室内の様子、 サードシートは畳んである。

ここでディーラーにお願いしてあらゆる方面にこちらの希望が実現できるか問い合わせをして頂きました。まず最初はグランドハイエースを作っているトヨタ車体の技術に問い合わせしたところ、パワーアシストドアのモーターと干渉するのでサイドリフトアップシートは取り付けできないとの返事でした。

その次はトヨタの ディーラーに付属しているtecsに問い合わせると図面を見て確認してくれましたが、これもまた同じ返事でした。ここで暗礁に乗り上げてしまいました。最後の頼みはトヨタ直系の改造専門会社モデリスタに問い合わせてもらいましたが、これもまた同じ返事で八方ふさがりとはこのことです。

それでもなんとか実現したいと思っていたので モデリスタに食い下がりました。「もし私がすでにパワーアシストドアのグランドハイエースに乗っていて、その車両をモデリスタに持ち込んでサイドリフトアップシートを装着してくれと頼んだら出来ないと断るのか」と聞いたわけです。純正のモノでなくても出来ないか、他の車種用のシートなら付かないか、あらゆる手段を考えた上での回答かなど、執拗に食い下がったのでした。

さすがにここまで食い下がるとモデリスタの担当者も改造専門会社としての プライドもあるでしょう。「少し時間を下さい、あらゆる方向で検討して返事します」と返事を頂きました。


ついに要望実現

7枚目の画像、サイドドアを両方開けた状態
5ドアの様子。向こう側のドアは通常の手動ドア。
8枚目の画像、座位保持椅子をつけた様子
ハルちゃん用にseedsのキャロットを着けた様子。

待つこと数日、モデリスタから返事がありました。もう一度設計図とにらめっこした結果、なんとか付けられるようだとの回答でした、それも純正のシートが着くと言うではありませんか、少しだけモーター部分に干渉するかも知れないがその時はモーターのカバーを削るか加工するかになるがそれでも良ければ取り付けいたしますとのことでした。

希望の光が見えてきました。食い下がってみるモノですね。今まで市場になかった車が手にはいるわけです、言ってみればこの世に一台の我が家の車です。このことがきっかけでウェルキャブシリーズにもサイドリフトアップシートとパワーアシストドアが付いた車種が登場すれば良いのにと心から思います。

ここまで来ると購入のための商談は一気に 進みました。それ以外にはトランクルームの車いす固定装置と、車いすを載せるときにバンパーに傷が付くのを防ぐステップガードなど、また妻も運転するのでバックモニタやフロントマーカーなど必要な装備を決めて注文しました。

後になって分かったことですが、この改造は何の問題もなく簡単に出来るモノでした。 パワーアシストドアと通常のドアとの違いはモーター部分の突起もさることながら、大きな違いはドアの開口寸法でした。 手動で開け閉めするドアと比べるとパワーアシストドアは約10cmほど開口部の幅が狭くなるのでした。 この問題は新しいタイプのリフトアップシートの登場ですでに大幅に改善しているようですが、いまだに標準またはオプションでもウェルキャブには装備できないようです。


セカンドシート組み込みチャイルドシート

9枚目の画像、加工前の回転の様子
加工前のシートの回転の様子。背もたれを倒して内回り。
10枚目の画像、加工後の回転の様子
加工後のシートの回転の様子。背もたれを倒さず外回り。

ハルちゃんが乗るための装備はこれで完成です。後は九州長崎の[SEEDS」(シーズ)が発売しているキャロットというチャイルドシートを取り付ければほぼ思い通りの環境が整いました。

今度はナルちゃんの体制作りです。 今は緊張が強くなかなか自分で座れないナルちゃんですが、徐々に緊張をほぐし練習を積んで以前のように自分で座れるときのために準備しておくことにしました。

ハルちゃんの身長は130cm体重は13kgほど、ナルちゃんの身長は110cm体重は9.5kgほどです。ナルちゃんの場合お姉ちゃんほど大きな装備は要りませんがチャイルドシートでもそこそこの大きさのモノが必要です。シートにシートベルトで取り付けるタイプでも良いのですが、使うときと使わないとき、例えば今日は調子が良いのでどの位の時間座れるか試してみようと思ったとき急に必要になったりします。かといって普段から付けておくのも邪魔になるし、いろいろ問題がありました。そんなとき発見したのがシート組込型のチャイルドシートです。グランドハイエースのカタログにそれは載っていました。

体重12kg〜25kg、身長85cm〜125cmのお子さまに対応と書いてありました。ちょっとナルちゃんには大きめになりますが、そもそもどのチャイルドシートを使っても無理のある状態です。迷わずオプションで注文しました。このシートはたいへん便利なので、出来るだけたくさんの車にオプションで装備できるようにして欲しいと思います。畳んでしまえば普通のシートに早変わりするので邪魔にならないし、後付のチャイルドシートのように付ける人の熟練度によって安全性が変わることもありません。どの自動車メーカーもこの装備は充実させるべきだと考えています。

ここまででセカンドシートの左側にはサイドリフトアップシートでハルちゃんが、右側には今のところお母さんに抱かれてナルちゃんが座っています。将来は組み込みチャイルドシートでナルちゃんが座るように準備が出来ました。


介助する側に優しい改造

ドア側へ向いて固定された様子
90度外側へ回転してロックされたシートの様子。
組込型チャイルドシートの様子
背もたれ内張を前に倒して組み込チャイルドシートをセットしたところ。

ナルちゃんの座席も確保できましたが。ここでもう少し改造を考えました。ハルちゃんの座席はドア側に90度回転してスライドダウンしてきます。介助して載せる側にも優しい設計で、自動車への乗降時の危険もほぼ解消されています。ナルちゃん側はシートはいつでも乗れる状態になりますが前を向いたままの座席に横からアプローチして乗せることになりしっかりとした座位の確保や乗せるときの介助者の負担も大きくなりますので、せめてシートだけでもドア側に90度回転して止められないかと考えたわけです。

この車のセカンドシートは本来背もたれを前にいっぱい倒さないとシートが回転しません。また、回転方向も内回りになるのでどう転んでもドア側には向きません。

そこで思いついたのがハルちゃんの座席を付けるときに最初に付いていたシートを取り外していますのでシートが一つあまっています。これは通常車両にリフトアップシートを付けたための副産物であり、ウェルキャブを買った場合は実現しません。内回りの左側座席を右側に付けるとドア側回りになるのではないか、シートを倒さないと解除されない回転機構を別のレバーなどの追加で背もたれを倒さずに回転させることは出来ないかと言う発想です。

そこで、リフトアップシートの改造をして頂いた「トヨタモデリスタ」に相談を持ちかけました。電話と電子メールで話し合いを重ねた結果ナントカできそうなめどが立ったので、大まかな見積もりを送りますとのことでした。大分希望が見えてきましたそこそこの金額だったのと、出来るときに出来ることはしておきたいと思い、早速改造をお願いしました。まさに私が思い描いたとおりの改造が完成しました。左右両方のシートの回転機構を組み合わせて新しい回転機構のシートを作り出したわけです。そこそこの金額で出来たのも、あまったシートが一つあったからです、新たにシート部分を購入すると、こうは行かなかったでしょう。

ここまで読んでただいて、初めてスペシャルエディションの由縁がおわかり頂けたのではないでしょうか。この回転機構を採用したことで、またまた思わぬ副産物が出来ました。サードシートへの乗り込みが楽になったことです。ウェルキャブシリーズにも是非標準でこの機構を取り入れてもらいたいものです。


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