実際手術自体は簡単に終わりましたがこれからが大変です。この日から春菜は一生コンタクトレンズを入れなくてはいけません。発症してから手術までに癖になってしまった目をこする動作も困ったもの、手術の直後はしばらく眼帯をしているのですがそれもこすってしまいます。
また、この間も口からものを受け付けないので鼻注を入れたままで注入したミルクを戻してしまうことしばし、付き添いの気の休まるときがありません。担当の先生から妻に「コンタクトの着け外しはおかあさんの仕事です、頑張って練習しましょうね」と言われてしばらく悩んでおりました。
眼帯がはずれて光りが入るようになっても水晶体がなくなると見るものすべてぼやけている状態、極度の遠視だそうです。目の大きさと曲面の測定をしてレンズを作っていただきました。その後1週間レンズの着け外しの練習をした後退院となりました。
今ではかなり見えているようです。 ところが視力というのは本人が返事できないと測定できないのです。つまり春菜はどのくらいの視力か全く分かりませんしどんな映像を見ているのかも分かりません。眼科の先生も眼底はきれいだし光りもきれいに届いていますと言うことしかできません。眼底に移った映像が視神経を通って映像を脳に伝える回路に問題が出ていても今の医学では解明できないようです。
妹の成美とはやはり目線のやり方が違いますし追視も少し頼りない感じですが食事の時のスプーンの動きはよく見ているので大丈夫なのでしょう。妻もすっかりコンタクトレンズの着け外しに慣れ 難なくこなしていますが、春菜の方は何年経ってもコンタクトレンズの着け外しは嫌いで 大声でわめき散らします。