2001年08月30日(木) [長年日記]
_ [ブック] センス・オブ・ワンダー/レイチェル・カーソン/新潮社
レイチェル・カーソンは環境汚染と破壊の実態を告発した本「沈黙の春」(新潮社)を 1962年に出しました。その後この「センス・オブ・ワンダー」をさらに膨らませたいと考えていましたがそれを成し遂げる前に 命の炎は燃え尽きました。しかし友人たちの手によって 一冊の本として出版されました。
自然は美しく、神秘的で 厳しく 優しい...。それを受けとめることの出来る感性を持つことによって 人生においてどんな困難に出会おうと 必ずや内面的な満足感と生きることの喜びへ通ずる事が出来る と著者は言っています。それらを示すような自然の様々な情景を言葉で描写しています。それらを読んでいると どこか懐かしいと共に ワクワク、ドキドキするような感覚が私の胸の奥の方から沸々と湧いてくるようでした。
夜空を見上げては 空の遙か彼方に月が存在していることの不思議。月が明るく光ることで夜の太陽の存在を感じることの出来る感動。この目に映る星の光は何万光年もの昔の光であるという驚き。 宇宙の果てはいったいどうなっているんだろうと言う疑問。花瓶に生けていた植物から根っこが生えてきたという驚きと感動...etc。例えば私流に言うと きっとこんな感覚のことなんだろうと思います。
著者は「沈黙の春」を執筆中にガンにおかされたため 彼女の最後の仕事として「センス・オブ・ワンダー」を書き始めました。病に冒されながらもこのような慈愛に満ちた文章が書けた、と言うことは まさしく「センス・オブ・ワンダー」の意義を彼女自身が明らかに示しているのだと思います。
恵まれた自然の中で生まれ、育った私の「センス・オブ・ワンダー」を育んでくれたのは 私を取り巻く環境と家族。そして未来の「センス・オブ・ワンダー」を育んでいかなければならないと言う大切な役割が 私たちにはあるのだと感じました。
感覚を呼び起こしながら ページをめくっていく本..。