2011年04月20日(水) [長年日記]
_ [ブック][MJ]マイケル・ジャクソンの思い出
マイケル・ジャクソンの思い出(坂崎ニーナ 眞由美)[Review]
著者は1986年から10年間、マイケル・ジャクソンのいくつかのライセンスプログラムの日本での代理人を務めることとなり、またマイケルが来日したときのプライベートな時間のアレンジを頼まれました。 ごく間近でマイケルの素顔を見てきました。
彼は礼儀正しく誠実で、思慮深く、物静かで控えめな半面、人を面白がらせることが大好きで、好奇心が旺盛、そして勤勉な人でした。
数々のエピソードから、まさしくそんな人柄が伝わってきました。 また、来日中にマイケルに関わった各関係者の対応ぶりも興味深く読みました。 マイケルはセガのゲームが好きでゲーム開発にも関わっていたそうですが、開発担当者の鈴木氏は「特にファンじゃないから、サインなんか要らない。」と言いつつ、よきビジネスパートナーとしてすっかり打ち解け良き話し相手になり、「マイケルってどんな人?」と尋ねられると鈴木氏は「いいヤツ。いいヤツとしか言いようがないよ。」と答えたそうです。
マイケルは食が細く、ツアーにはアメリカから女性シェフを同行させていたそうですが彼女は仕事はそっちのけで遊ぶことに夢中でシェフの仕事はおろそかだったようです。著者は、マイケルのセキュリティ担当のビルから 良いシェフを紹介してほしいと頼まれ、当時葉山ホテルのシェフを紹介しました。それからはマイケルの口に入るすべてのものの管理を任され、ハードなコンサートをこなすのに、小食すぎるマイケルを心配し、心を尽くされました。普段、食事をする姿を見せたがらないマイケルですがシェフたちには「食事する間ここにいいて。」と頼み、心を許していたようです。
マイケルに関わった人は、それまではどちらかというと勝手にイヤな印象を抱いていた人でも会えばその人柄に惹かれずにはいられない魅力があったようで、マイケルに対してそれぞれの立場から誠心誠意、最高の仕事をしてあげたいと思ったようです。そんな日本人のまじめで賢明で律儀なところにマイケルもまた惹かれ、日本びいきであった理由の一つだったのでしょう。
この本のおかげでいろいろなエピソードを楽しみましたが、1993年に少年の性的虐待疑惑が持ち上がった、それ以降のマイケルの心身ともに疲れはてた様子には涙が出ました。 本来の姿は何事にも精力的に取り組み、前向きなのに、そうではなかったマイケルのその時の苦悩を思うと本当に残念で悔しく思います。
しかしながら最近のテレビ番組などについて著者は
マイケルの真実の姿を伝える番組がいくつも放送されて、私は嬉しくなりました。彼は人間はもちろん、動物にも地球にも優しく、被害者にはなっても、決して誰かを傷つける人ではありませんでした。
と言っています。また、著者もマイケルの世界へのさまざまな支援活動を見習って、
みなさんが買って下さったこの本の印税を、私が理事として参加している、有森裕子さんが主催する非営利団体「ハート・オブ・ゴールド」(アンコールワット国際ハーフマラソンを通じてカンボジアを支援する活動)と、「Tokyo English Life Line」(日本で暮らす外国人のための、英語によるカウンセリング・支援活動)に使わせていただきたいと思っています。
とあり、マイケルはこんな形でもまた、今も生きているんだ、と思いました。
ついつい、長くなりました。でもまだ書ききれません。この本の中身をそのまま貼り付けたい、そんな気持ちです。