2007年08月13日(月) [長年日記]
_ 時を経て巡り逢わせ
お盆のお参りに実家へ行きました。いつものようにかしわのすき焼きを振る舞ってもらっておいしく、楽しく過ごしました。
母が床の間に飾られている掛け軸の絵について語り始めました。
黒い絵の具か、墨で描かれている絵は 今は亡き私の祖父が戦争中、インパール作戦でビルマ(ミャンマー)にいた時のものだそうです。収容所にいたときにイギリスから綿のハンカチが支給され、祖父はそのハンカチで汗を拭ってしまったらそれまででもったいないと思ったようです。同じく捕虜として絵描きさんがおられることを知った祖父は その方にハンカチに絵を描いていただくようお願いしたそうです。絵描きさんは快く引き受けて描いてくださったとのこと。絵はどうやらビルマの街中を描いたもののようで 女性数人が頭の上に荷物をのせて歩いていて 水牛が荷物を運んでいたり 周りには木が伸びていて 遠くにはパゴダが描かれているものでした。ハンカチに描かれているので 絵の具だか墨だかが じんわり滲み、それが柔らかい印象になっていました。
祖父は日本にこのハンカチを大事に持ち帰り 表具屋さんで掛け軸にしてもらったそうです。そして夏になるとこの掛け軸を床の間に飾り、祖父はその前に座り静かに眺めていた、とのこと。
きっと この絵描きさんの事を懐かしく思い出し 安否を気遣っていたのかも、そしてまた戦地でこのハンカチが祖父の心を癒してくれたことなども思い出していたのではないでしょうか。
母はその絵描きさんが今、どうしておられるか気になるらしく できたら絵を描いてくださったお礼と、掛け軸にして今も大切にしています、と言うことを父に代わって伝えたいと言うことでした。
それならネット検索してあげるからと、デジカメにとって家に帰って調べてみました。
その絵の右上にはなにやら読み取りにくい文字が書かれていて どうやら描かれた方のお名前が「蘇順泉」という方らしいのです。検索するとわずかにヒットしました。「松島 蘇順泉」さんと言うことがわかり、この方の経歴も少しわかりました。残念ながらお亡くなりになっていました。正直ビックリでした。趣味として絵を描いておられたらきっとヒットしないだろうなぁと思ったからです。埼玉出身の方でした。その後も絵をずっと続けておられたようでした。
また、その方の油絵が載っていたのですが「東南アジアの祭」という題名でまさしく実家の掛け軸と大変よく似た構図とタッチだったので とても感動しました。なんて言えばいいのか複雑ですが「過去と現在と人とがめぐりめぐって繋がった」みたいな。
そして名前の前に書かれていた文字は「緬甸 寸情」で 「ビルマ 心ばかりの贈りもの」という意味らしいのです。
きっと心を込めて描いてプレゼントしてくださったのだなと、その時の情勢を絡めて考えるとまた感慨深いものがありました。
さて、ご本人はもう亡くなられているので せめてご家族に連絡が取れたら嬉しいなと思うのですが、どうなりますやら。なんとかして祖父の想いと母の想い、それに加えて私の想いも届けたいなと思うのです。
万が一、私の拙いこの日記を 蘇順泉さんのご家族が目にしてくださったらどんなにうれしいでしょう。御縁があるなら そして 私たちの想いが強ければ 巡り逢うことが出来るかも。
そう祈りながら いろいろ手だてを考えみることにします。
めぐり合うってすごいですよね。<br>是非この続きどうなったのか必ず教えてくださいね。<br><br>探偵ナイトスクープはいかが?
まりんばさん、こんにちは。お盆にこんなお話が出てきて、これもおじいちゃんからの引き合わせなのかなぁなんて思います。そうそう、私もちょっと思ってました、>探偵ナイトスクープ。